交通事故被害に遭ったときの保険豆知識
公開日:2019/11/19
交通事故に遭ってしまったが,健康保険も使えるの?
自賠責保険と任意保険ってどう違うの?
自賠責保険と労災保険の関係は?
このコラムでは
岡山の弁護士が
そのような疑問を抱かれている方に
ご説明いたします。
自賠責保険とは
障法によって
すべての車両の所有者に対し
強制的に保険に加入することが
義務付けられている保険であり
いわゆる強制保険です。
自賠責保険は,
交通事故被害者に対し
最低限の損害について
補償することになります。
自賠責保険は
交通事故加害者に損害を支払う資力がないときでも
最低限交通事故被害者を保護するために
作られたのです。
ちなみに
自賠責保険の限度額は
死亡事故の場合 合計3000万円まで
傷害事故の場合 合計120万円まで
後遺障害が残る場合(原則) 3000万円から75万円
となっています。
そのため
相手方が任意保険に加入していなくても
最低限の損害だけは
自賠責保険が支払ってくれます。
任意保険とは
しかし,自賠責保険は,
裁判基準より遥かに低い金額です。
また,自賠責保険では
人損は賄ってもらえますが
物損は賄ってもらえません。
自賠責保険では賄えない損害が発生しているのに
どうしよう・・・
ということで生まれたのが
任意保険です。
任意保険は
自賠責保険の上乗せ保険
となっているのです。
この点
自賠責保険に加入していなければ
刑罰がありますが
任意保険に加入していなくても
刑罰はありません。
任意保険に加入していないこと自体は
不法行為に該当するようなことではありません。
しかし
死亡事故を起こして自宅を売却しなければならなくなった!
相手に重い後遺障害を与えて借金で首が回らなくなった!
などのことがございます。
万が一のことを考えると
任意保険に加入しておいた方が
よろしいかと存じます。
また,任意保険には,
示談の代行が付いていますので
もしもの時にも
任意保険会社に示談交渉を任せておけるメリットもあります。
一括払い制度とは
上記のとおり
任意保険は
自賠責保険の上乗せ保険となっていますが
任意保険会社は
自賠責保険が支払うべき部分も
一括して
被害者に対し
損害賠償を支払うことになります。
これを
一括払い制度
といいます。
任意保険会社は
加害者のために
被害者との関係で示談代行を行い,
自賠責保険で支払われるべき部分も合わせて
示談金を支払うのです。
任意保険会社は
被害者に治療費や慰謝料などを支払った後で
自賠責保険に対し
立て替えて支払った金額を請求するのです。
しかし
被害者の中には
加害者の任意保険会社の対応に対し不信感を抱く!
治療費の打ち切りを申し渡されたけどまだまだ治療に通いたい!
などの場合があります。
この場合は,
被害者は,
自賠責保険に対し
直接治療費や慰謝料の請求をすることができます。
これを
一括払いを解除して被害者請求する
といいます。
健康保険や労災保険との関係
交通事故の案件では健康保険が使えない!
と言われています。
しかし,これは,医療機関が
交通事故の治療費を健康保険よりも高く設定しているから
自賠責保険による治療を優先させているに過ぎません。
交通事故の案件でも
健康保険や労災保険は使えます。
たまに
任意保険会社から健康保険を使うように指示された!
とお怒りの方がいらっしゃいますが
特に気にする必要はございません。
むしろ
交通事故被害者の方に過失がある場合は
健康保険や労災保険を使用した方がいい場合も
あります。
例えば,健康保険でいえば
相手側から支払われた治療費についても
過失相殺の対象となるため
健康保険を使って治療費を安くしておいた方が
減額分が低額で抑えられるというメリットがあります。
相手方が
無保険の時や自賠責保険にしか加入していない場合も
健康保険や労災保険を使用した方がいいと思われます。
最後に
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