交通事故賠償金の基準

交通事故賠償金の基準

更新日:2019/11/19

 

 

 

交通事故賠償金の基準って
どうなっているんだろう?

 

と疑問に感じられている方に向けて
このコラムでは
岡山弁護士会所属の弁護士が
ご説明申し上げています。

保険会社の目的

 

当然のことながら,保険会社は,慈善団体ではなく,営利団体です。

 

ですから,保険会社は,自社にできるだけ利益が出るように,
又はできるだけ損失を出さないように,ということで動いています。

 

したがいまして,
保険会社の方が最初に提示する交通事故賠償金は,
適正な賠償金額というよりは,
自社ができるだけ損失を出さないために・・・
ということで計算された金額であることが多いです。

保険金の構造・交通事故賠償額の基準

 

保険金の基準には,
@自賠責保険の基準,
A任意保険会社の基準,
B裁判所の基準があります。

 

金額としては,@が一番安く,
次にAが低額で,
Bが一番高額になる
と一般的には言われています。

@自賠責保険の基準

 

交通事故をめぐる保険には,いろいろありますが,
交通事故に遭った方が加害者側の保険会社から受領できる保険は,
強制保険である自動車損害賠償責任保険(自賠責保険)の保険金と
任意保険の保険金があります。

 

いわゆる自賠責保険は,皆様方もご存じのとおり,強制保険ですが,
自動車損害賠償保障法(自賠法)に基づく保険です。

 

自賠責保険の特徴としては,
(1) 支払基準は自賠法に基づいていること,
(2) 保険金額に上限があることが挙げられます。

 

そして,この自賠法に基づく保険金額の上限は,
非常に低額に設定されているのです。

 

そのため,任意保険という保険商品が生まれて,
交通事故被害者に実際に発生した損害のうち
自賠責保険により填補される額を超える部分
をきちんと填補させようとした訳なのです。

 

そして,一般的に,交通事故被害者の方が交渉することになる「保険会社」は,
加害者が加入している任意保険会社となります。

 

ここで,任意保険会社の役割をご説明すると,
任意保険会社は,
交通事故被害者が被害者請求
(自賠責保険会社に直接自賠責保険分を請求すること)
をしなければ,
交通事故被害者の方に対し,
自賠責保険の保険金と任意保険の保険金を一括して支払う役割を担っています(一括払制度)。
そして,任意保険会社は,交通事故被害者の方に対し,
自賠責保険金分も合わせて賠償金を支払った後,
交通事故加害者が加入している自賠責保険の保険会社
(任意保険会社と自賠責保険の保険会社は関連性がありません)から,
自賠責保険の保険金を回収しているのです。

 

もう少しわかりやすく説明するために,
任意保険会社をA社,
自賠責保険会社をB社として,
交通事故被害者の方への賠償金の支払いの流れをご説明いたします。

 

まず,A社は,B社が本来支払うべき保険金(自賠責保険の保険金)と,
自社が支払うべき任意保険の保険金とを合わせて一括して,
交通事故被害者に対し支払います。
その後で,A社は,B社に対し,自賠責保険の保険金を請求する
という流れになるのです。

 

ですので,任意保険会社(A社)としては,
@自賠責保険の基準で,示談(和解)をまとめることができれば,
あとで支払った賠償金は自賠責保険の保険会社(B社)に対し請求できるので,
自社(A社)に損失が発生しないということになります。

 

そういうわけで,任意保険会社の提示する賠償金は,
とりあえず@自賠責保険の基準で計算されることが多くなるのです。

B裁判所の基準

 

もっとも,交通事故の事案が裁判になった場合,
交通事故被害者の方の被った損害額を判断するのは,
任意保険会社ではなく,当然裁判所となります。

 

裁判所は,
法律上交通事故被害者の損害額がいくらになるかを判断するのであって,
保険会社の利益は考慮しません。

 

具体的には,裁判所は,保険会社の利益や基準を考慮することなく,
純粋に,交通事故と相当因果関係のある損害額はいくらになるのかということ
(原則的にはその交通事故により通常生ずべき損害と評価できるか否か)
を判断します。

 

一方,任意保険会社は,
交通事故被害者の自賠責保険で賄えない実損害を填補するという保険商品を提供していることから,
B裁判所が判断するであろう損害額以上に支払うべき根拠がありません。

 

そのため,交通事故被害者の受領できる賠償金は,
B裁判所の基準による計算が一番高額となることが多いのです。

弁護士が介入すると,交通事故賠償金が増額される可能性が高い理由

 

上記で記載したとおり,保険会社がはじめに提示する賠償金額は,
@自賠責の基準で計算されていることが多いですが,
弁護士が介入すると,保険会社としても,B裁判所の基準を意識せざるを得ません。

 

そういうわけで,弁護士が介入すると,
交通事故賠償金が増額される可能性が高くなるのです。

 

ですので,保険会社から賠償金額を提示された交通事故被害者の方は,
是非とも一度弁護士にご相談ください。

問い合わせ

 

〒700−0815
岡山県岡山市北区野田屋町1丁目12番地14号
佐々木ビル201号
安原法律事務所
岡山弁護士会所属
TEL 086-206-3485
FAX 086-206-3486

page top