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財産分与と過去の婚姻費用の清算

公開日:2020/03/09

 

 

 

別居期間が長いんだけど
夫は婚姻費用を全く支払ってくれず,
子どもの面倒もずっと私が見てきました。
この度夫とは離婚することになりましたが
財産分与をする際
過去の婚姻費用の清算もしてくれないのでしょうか。

 

そのようなお悩みをお抱えの皆さん
このコラムでは
財産分与と過去の婚姻費用の清算
について
ご説明いたします。

財産分与とは?

 

財産分与とは,
夫婦が離婚した場合に,
その一方が,
婚姻中に両者協力して形成した財産
を清算するため,
その分与を求めることを
いいます。

 

財産分与には
婚姻中に夫婦が協力して形成した財産を清算する
清算的要素のみならず
離婚後における相手方の生計の維持を目的とする
扶養的要素
また
慰謝料的要素
があるとされています。

 

財産分与の具体的なご説明は,
下記コラムをご覧下さい。

 

婚姻費用とは?

 

では
婚姻費用とは何でしょうか。

 

婚姻費用とは
要するに,
生活費のことですが,
難しくご説明すると
夫婦の一方がもう一方に対し
その資産,収入その他一切の事情を考慮して
分担しなければならない費用
とされています。

 

婚姻費用の具体的なご説明は,
下記コラムをご覧下さい。

 

財産分与の際の過去の婚姻費用の清算について

 

上記のとおり
財産分与と婚姻費用の問題は
別物なのですが,
過去の婚姻費用,特に別居後の婚姻費用は
支払いがなされないことも多いです。

 

そのような場合
財産分与をどうやってするか決定する際に
過去の婚姻費用の未払いを
精算することができないか
という問題意識です。

 

この点は昔,争いがあったのですが,
最高裁判所が昭和53年11月14日判決にて
結論を下しました。

 

内容は以下のとおりです。

 

「裁判所が
財産分与の額及び方法
を定めるについては
当事者双方の一切の事情を
考慮すべきものであることは
民法771条,768条3項の
規定上明らかであるところ,
婚姻継続中における
過去の婚姻費用の分担の態様は
右事情のひとつにほかならないから,
裁判所は,
当事者の一方が過当に負担した
婚姻費用の清算のための給付をも含めて
財産分与の額及び方法を定めることができる
ものと解するのが,相当である。」

 

要するに
財産分与の決定の際には
過去の婚姻費用の精算もすることができる
ということです。

財産分与の際の精算の対象となる過去の婚姻費用

 

対象となる過去の婚姻費用としては
原則として別居後のもの
とされています。

 

もっとも
別居中はもちろん同居中も
婚姻費用を分担しなかった支払義務者の
未払婚姻費用を考慮した判決もあります
(東京地裁平成14年10月11日判決)。

 

2番目の条件としては
未確定のもの
である必要があるとされています。

 

既に婚姻費用の額や支払方法などが
調停などで確定しており
債務名義(調停調書や審判書)がある場合には
強制執行が可能なので
財産分与で考慮することは
二重に支払え
といわれることになるので
考慮できないとされています。

財産分与の際に過去の婚姻費用を考慮する方法

 

まず
対象期間の未払婚姻費用の額を算出する。

 

次に
財産分与の請求者と分与する者の資産,収入等を検討する。

 

財産分与をする者に資力が十分ある場合は
全額を財産分与額に加算し
資力が十分ない場合は
一部を加算する
とされています。

別居後の住宅ローンの支払い

 

それでは
別居後に財産分与者が住宅ローンを
支払っていた場合は
どうなるでしょうか。

 

原則的には
住宅ローンの支払いは,
婚姻費用とは関係ないものとされており
財産分与で考慮されるべきである
とされています。

 

具体的には
別居後の住宅ローンの支払いは
支払った者の特有財産になるとされ
財産分与において清算されるべきである
とされているのです。

 

しかし
例えば,
住宅ローンを負っている夫が
自宅不動産を出て
妻が自宅不動産に居住し続けている場合などで
よくありがちですが
住宅ローンの支払いを
婚姻費用の算定の際に考慮して
適正な婚姻費用の額から減額している場合もあります。

 

その場合は
財産分与の請求をしている者も
すなわち,
住宅ローンを支払わずに
自宅不動産に居住し続けた者も
住宅ローンの一部の支払いをしていると
評価されて
財産分与の額を算定してもらえる場合もあります。

最後に

 

以上のように
過去の未払婚姻費用についても
財産分与の際に考慮する場合もあるのです。

 

詳細は
岡山の安原法律事務所にご相談下さい。

 

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