破産申立を制限する合意の効力〜それでも自己破産申立はできるのか?〜
公開日:2021/07/07
借金で首が回らないが,一部の債権者との間で
破産する前には協議をして債権者から同意をもらうことが必要
とする約束をしてしまった!
自己破産したいけれども,破産申立てできるのか?
このように,
債務者が一部の債権者との間で合意をする場合があります。
具体的には,
破産申立をする前に事前に債権者と協議する
債権者から同意が得られない場合は自己破産申立てしない
といった約束です。
このような合意をしてしまった場合は
自己破産できないのでしょうか?
破産申立を制限する合意の効力
債権者と一部の債権者との間において
破産申立をするには,事前に協議をし
当該債権者の同意が必要とする合意がなされた場合
その合意の効力がどうなるでしょうか?
これについては
東京高等裁判所昭和57年11月30日決定で判断がなされています。
内容としては,以下のとおりです。
債務者が事前協議をしないで
破産申立をしたとしても
上記合意をした一部特定の債権者に対する
債務不履行となり得ることがあるのは格別
その破産申立を違法,無効なものということはできない。
理由としては
「破産手続は,総債権者に対する債務を
完済することができない状態にある場合に,
強制的にその者の全財産を管理換価し
総債権者に公平な金銭的満足を与えることを
目的とする裁判上の手続であり
いわば総債権者の利益のためのものであって,
一部特定の債権者その他の権利者との間の合意によって
その申立を制限されるとするのは相当でないからである。
と判示されています。
したがいまして,
破産申立を制限する合意の効力については
無効ではなく,有効となり得るが
その合意に違反して破産申立をなしたとしても
その破産申立が違法・無効なものとなることはないということです。
すなわち
破産申立が棄却されるなどということはなく
破産手続は有効に行うことができるということです。
まとめ
以上のとおりですから,
たとえ一部の債権者との間で
破産しない
とか
破産する前にはその債権者の同意を得ることにする
などといった合意を締結していた場合であっても
破産申立が不可能となるわけではありません。
借金で首が回らなくなった場合は
ぜひとも自己破産をして
生活の再建をして下さい。
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