借金を帳消しにする制度〜自己破産・免責の仕組み〜
公開日:2019/11/02
更新日:2019/11/03
借金で首が回らない!
債権者からの執拗な取立てから逃れたい!
債権者から給料の差押えを受けた!
という方は,借金を帳消しにする制度として
自己破産
という制度があります。
このコラムでは,
自己破産の仕組みについて
ご説明いたします。
自己破産を行うと借金が帳消しになる仕組み
自己破産は
借金や自己の財産を清算し
生活の立て直しを図る手続と言われています。
自己破産制度は
借金で経済的に立ち行かなくなった場合に
裁判所が関与して
債務者(借金を負っている者)の再起を図るという
政策的な目的で
創設されました。
自己破産の申し立てを行うと
裁判所は
支払不能などの破産手続開始原因があれば
破産手続開始決定を下し
破産手続を開始させます。
破産手続は
破産者の財産をお金に換えて
債権者に対し公平に分配する手続です。
破産者に債権者に対し分配する財産がない場合は
破産手続開始決定と同時に
同時廃止決定
が下されます。
同時廃止決定が下された場合は
破産手続は同時に終了します。
破産者に債権者に対し分配する財産がある場合は
裁判所が破産管財人を選任して
債権者に対し破産者の財産を分配する手続を行います。
これが破産手続です。
ですので
借金を負っている者(破産者)は
破産手続開始決定が下されただけで
借金を返さなくてもよくなるわけではないのです。
借金を負っている者(破産者)が
法律上の支払義務を免除されるための手続は
免責手続
といいます。
免責の制度とは
破産手続が終了した後
一定の要件の下で
残りの借金についての法的な支払義務を
免除する制度です。
裁判所は
破産者を免責させてもいいかどうか
債権者から意見を聴きます。
破産管財人が選任されている場合は
破産管財人の意見も裁判所に対し
提出されます。
その結果
裁判所は
免責許可決定
か
免責不許可決定
を下すのです。
こうして
免責許可決定が得られた場合に初めて
破産者は
法律上の借金の支払義務を
免除されるのです。
これが
自己破産を行って借金が帳消しになる仕組みです。
免責許可決定の要件
免責は
破産法252条1項各号に規定する
免責不許可事由に該当しない場合には
必ず免責許可決定を下さなければなりません。
免責不許可事由は
例えば
債権者を害する目的で,財産を隠したり,壊したりした場合
ギャンブルや浪費が借金の主な原因である場合
特定の債権者のみに対し義務でもないのに返済した場合(偏頗行為)
クレジットカードなどで商品を購入し,すぐ廉価で換金した場合
相手を騙してクレジットカードなどで買い物をした場合
裁判所や破産管財人が行う調査に協力しなかった場合
虚偽の債権者名簿を提出した場合
過去7年以内に免責許可決定を受けたことがある場合
などになります。
もっとも
免責不許可事由に該当する場合であっても
裁判所が
その事情で自己破産に至ったのであれば仕方ないかな
と考えた場合は
裁判所は裁量で
免責許可決定をすることもできます(破産法252条2項)。
免責に関する決定の確定までの強制執行
免責許可の申立てがあり
かつ
同時廃止決定又は異時廃止決定
があった場合には
免責に関する決定の画定までの間
破産者の財産に対する強制執行等
をすることはできなくなります。
また,破産者の財産に対して
すでになされている強制執行等は
中止することになります。
ですので,給料などに強制執行されている場合は
自己破産の申立をすることにより
強制執行を中止してもらえることになるのです。
免責許可決定の効果
免責の効果が確定すると
破産手続きで配当した後残っている借金について
法律上返済しなければいけない義務が
免除されます。
しかし
免責許可決定を受けたからといって,
全ての借金が帳消しになるわけではありません。
具体的には,次のような借金は帳消しになりません。
税金や罰金
養育費,婚姻費用
知っていたにもかかわらず
破産申立書類の債権者一覧表に記載しなかった借金
悪意で行った不法行為に基づく損害賠償請求権
故意又は重過失で人の生命又は身体を害した場合の
不法行為に基づく損害賠償請求権
などが免責の対象にはなりません。
ですので
上記のような債務を負っている場合は
自己破産して免責許可決定を受けても
支払義務は免除されません。
その点お気を付け下さい。
保証人や抵当権などの担保への効果
あなたの借金が帳消しになっても
その効果は
保証人や抵当権には及びません。
保証人を頼んでいる場合や
自宅に抵当権を設定している場合は
保証人に対して請求されますし
自宅は抵当権が実行されますので
その点ご留意ください。
最後に
以上のとおり
借金を帳消しにする制度として
自己破産・免責
があります。
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