破産手続の開始の要件
公開日:2021/05/13
借金で首が回らない!
自己破産したい!
しかし,そもそも自己破産できるのでしょうか?
破産手続の開始の要件としては
支払不能(破産法15条)
又は
法人の場合の債務超過(破産法16条)
の2種類があります。
このコラムでは
破産手続の開始の上記要件について
ご説明致します。
支払不能
まずは,「支払不能」についてご説明致します。
支払不能とは
債務者(借金の支払義務のある者)が,支払能力を欠くために
その借金のうち弁済期にあるものについて,
一般的かつ継続的に
弁済することができない状態(破産法2条11項)
とされています。
もう少しわかりやすくご説明すると
弁済期にある借金の大半について支払資金がなく
今後も支払の見込みが立たない状態をいい
要するに
客観的に借金の支払いが不可能な状態をいいます。
借金に相当する資産があるが,お金に換えることが難しい場合なども
支払不能と評価されます。
また,借金の金額だけでなく,
将来の収入や信用も考慮されます。
ですので
近い将来に弁済できることが確実な場合は
支払不能とは言えません。
それでは
弁済期がまだ到来していないが
借金の履行ができないことが確実である場合などは
支払不能とはいえないでしょうか?
この場合
弁済期にある借金については支払ができている場合でも
客観的に支払能力を欠いていると評価された判例もあります。
この「支払不能」は,
破産開始の要件であるだけではなく
否認や相殺禁止の要件でもありますので
いつの時点で支払不能になったのかについては
あとで問題となる場合もあります。
支払停止
債務者が借金の支払いを停止したときは,
支払不能にあると推定されます(破産法15条2項)。
簡単のご説明すると
債務者が資力がないために借金の弁済ができないと考えて
支払がもうできないと
明示的又は黙示的に外部に表示する行為とされています。
具体的には
弁護士からの債務整理をすることの受任通知
営業廃止の張り紙
2回目の不渡りによる銀行取引停止処分
夜逃げ
などがあたると考えられています。
このような事情がある場合は
「支払不能」であることが推定されます。
なお,これはあくまで「推定」であるため,
上記のような事実があったとしても
支払能力があることを証明すれば支払不能とはなりません。
「支払停止」には当たらない場合としては
割賦弁済の数回分が滞ったに過ぎない場合
債務者が一時的,部分的に支払ができないことを明らかにした場合
債務者が内心で勝手にもう今後は借金を返済しないと決めただけの場合
があります。
このように,
債務者が一般的,継続的に
支払の意思がないことが外部的に明らかになることが
必要なのです。
法人の場合の債務超過
また,法人(株式会社など)の場合には
債務超過という要件もございます。
内容としては
借金の額が資産の総額を上回っている状態
を指します。
なお,
合名会社及び合資会社には
この債務超過という要件は当てはまりません。
最後に
以上が破産手続の開始の要件になります。
このコラムをお読みになってらっしゃる皆様は,
借金で首が回らない!
とお考えになってらっしゃるかも知れませんが
本当に自己破産できるかどうか
岡山でお悩みの方は
安原法律事務所までご相談ください。