岡山で遺産相続にお悩みの方へ

遺産分割で寄与分を主張して不公平を是正しよう!

 

私は,お父さんの農業経営を無償で手伝ってきた!
私は,認知症のお父さんをずっと無償で面倒をみてきた!

 

今までこんなに頑張ってきたのにもかかわらず,
私と何もしていない兄弟が同じ額しかもらえないなんて不公平だ!

 

このような方は,寄与分の主張をすれば
不公平が是正できる場合があります。

寄与分とは?

 

寄与分とは
共同相続人の中に,被相続人の財産の維持または増加に
特別の寄与(通常期待される程度を越える貢献)
をした者があるときは
相続分の計算を下記計算式で計算して
共同相続人間の公平を図る制度です(民法904条の2)。

 

寄与をした者の具体的相続分=(相続財産−寄与分)×法定相続分+寄与分

 

本来なら
具体的相続分=相続財産×法定相続分
ですので,
寄与分の主張が認められた場合は通常より多く相続できることになります。

寄与分の要件

 

1 相続人か否か

 

民法904条の2の寄与分の主張をするためには
相続人であることが要件となっています。

 

なお,今までは,
相続人でなければ寄与分の主張をすることができない
とされていたのですが,
令和元年7月1日以降に発生した相続からは
相続人ではない被相続人の親族にも,
特別の寄与が認められる場合には,
相続人に対し,金銭請求をすることが認められています。

 

このコラムでは,相続人が寄与分の主張をするための要件を
記載していきますね。

 

2 「特別の寄与」があるか否か

 

寄与分を主張できる「特別の寄与」とは
被相続人と相続人との身分関係において
通常期待される程度を越える貢献といえるか否か
という点が問題になります。

 

すなわち,民法上
夫婦間では協力扶助義務
親族間には扶養義務
が規定されています。

 

ですから,民法上
夫婦だったらそれぐらいするべきでしょ!
親子だったらそれぐらいするべきでしょ!
とされている行為は,特別の寄与にはなりません。

 

具体的には,以下の類型にまとめられています。
家事従事型(被相続人の経営する農業その他自営業に継続的に従事)
財産給付型(医療費や施設入所費等の多額の金銭を援助)
療養看護型(病気療養中の被相続人を継続的に療養介護)
扶養型(被相続人を継続的に扶養)
財産管理型(継続的に財産を管理した)
その他

 

そして,以上の類型の行為を
原則として無償でしなくてはならないとされています。

 

給料や報酬をもらいながら被相続人の事業に従事しても
特別の寄与とは認められません。

 

ただし,給料や報酬をもらっても
非常に低額でお小遣い程度の場合は
特別の寄与が認められることもあります。

 

3 被相続人の遺産が維持又は増加したか否か

 

実際に被相続人の財産の減少を防止できたか否か,
又は財産が増加若しくは債務が減少したか否か
が必要です。

 

4 寄与行為があったからこそ遺産の維持又は増加したのか否か

 

それでは,具体的に見てみましょう。

家事従事型

 

お父さんが経営している農業をずっと手伝ってきた!
という場合がこれに当たります。

 

しかし,この場合は,相続人は,被相続人から,
生活費,給料または報酬をいくらかもらっている
というのが通常でしょう。

 

では,いくらかでももらっていたら
寄与分として認められないのか
というとそうではありません。

 

被相続人が他人を従業員として雇用した場合に
支払うであろう給料や報酬と差があるか否か
という視点で考えます。

 

すなわち,その業種の仕事で働いた場合に
通常もらえるであろう給料や報酬を受領していたのであれば
寄与分の要件である無償性は認められません。

 

しかし,その業種の仕事で通常もらえる給料または報酬と比較して
著しく低額な場合は
無償制は認められることになります。

 

そして,寄与分の計算は,
その業種で通常もらえるはずの給料や報酬の総額から
相続人が受領していた生活費等を控除して
計算することになります。

 

または
単純に相続財産の額のうち相続人が寄与した割合の金額として
計算をすることもあります。

財産給付型

 

財産給付は,小遣い程度では認められず
通常考えられる給付を越えることが
必要とされます。

 

例えば,不動産の贈与,高価な動産の贈与,
多額の金銭の贈与などがこの類型に当てはまります。

 

寄与分としては
贈与した金額全額が認められるわけではなく
給付した物の相続開始時の価額の何割か
(割合は裁判所が個別に判断)
となります。

療養看護型

 

本来被相続人が看護人を雇用しなくてはいけなかったはずのところを
相続人が無償で継続的に療養看護したために
被相続人が看護費用を免れたことが必要です。

 

療養看護の必要性が要件とされていますので
被相続人がどのような病状にあるのか,
そのためにどのような療養看護を必要としているのか
という点が大事な点になります。

 

ですので,完全看護の病院に入院している場合には
相続人による療養看護は必要とはされていないと考えられますので
療養看護型の寄与分は原則認められません。

 

そして,この類型も当然無償性が必要です。

 

また,療養看護した期間はある程度必要です。
1年以上は療養看護していることが必要でしょう。

 

さらに,療養看護の内容は
片手間では足りず
かなりの負担が必要とされています。

 

寄与分としては
療養看護行為の1日分の報酬相当額に看護日数を乗じ,
それに裁判所が判断した割合を乗じて
計算されます。

 

看護の報酬相当額は,
介護報酬基準額などを使用することが多いです。

 

ただし,
相続人が無償で被相続人所有の建物に居住するなどの
利益を受けていた場合は
その利益額を控除することになる可能性があります。

 

なお,療養看護型では,
長男の嫁が被相続人を看護している場合が良くあります。

 

この場合,以前は長男の嫁がいくら頑張っても
寄与分としては認められないとされており,
長男の寄与分として遺産分割の中で評価される場合
があり得るのみでした。

 

しかし,令和元年7月1日以降に相続が開始した事案では
長男の嫁自身が寄与分として
相続人に対し,金銭請求できるようになりました。

 

また,詳細は別のコラムに書きますね。

扶養型

 

被相続人の扶養が必要である場合に
相続人が被相続人を扶養義務の範囲を超えて
無償で継続的に扶養し,
被相続人の財産が維持された場合を指します。

 

寄与分としては
実際に扶養のために負担した金額に
裁判所が個別に判断した割合を乗じて
計算します。

 

ただし,療養看護型と同様に
相続人が無償で被相続人所有の建物に居住するなどの
利益を受けていた場合は
その利益額を控除することになる可能性があります。

財産管理型

 

被相続人の財産を管理する必要がある場合に
無償の「特別の貢献」により
継続的に被相続人の財産を管理した場合
寄与分が認められることがあります。

 

たまにあるのが
被相続人宅の庭の木をたまに伐採した
などと主張される場合もありますが
この程度では認められません。

 

寄与分としては
相当と思われる財産管理費用に
裁判所が個別に判断した割合を乗じて
計算します。

 

最後に

 

以上のとおり,

 

私だけがお父さんに何かしてあげて兄弟は見て見ぬふりだったのに
法定相続分どおり遺産分割をするのは
おかしい!

 

という場合は寄与分の主張をしてみましょう!

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