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親の土地の無償使用は特別受益になるか

公開日:2019/12/10

 

 

 

お兄ちゃんは,お父さんの土地の上に自分の建物を建築して居住している!
私は,自分で土地を購入して自宅を建築したのに,不公平じゃないか?

 

そのような疑問を抱かれている方
遺産相続で揉めている方
遺産分割調停になっている方

 

このコラムでは,
親の土地の無償使用は特別受益になるのか否か
すなわち
被相続人所有の土地の上に
相続人が建物を所有して無償で占有している場合の
特別受益について説明申し上げます。

特別受益とは

 

特別受益とは
皆さんもご存じのとおり
共同相続人の公平を図るために
被相続人から遺贈を受けたり
被相続人から生前贈与を受けたりした場合に
そのような特別な受益を
相続分の前渡しとして考えて
計算上特別受益額を
相続財産に持ち戻して
相続分を算定する制度です。

 

要するに,
遺産分割の前にもらっていた物も
遺産分割でもらうことにして
計算しましょう
ということです。

 

ですので
特別受益を受けていた者は
本当に残されている相続財産から計算される相続分からは
先にもらっていた分が減額されてしまうことになる制度です。

 

すなわち
特別受益とは
先に贈与を受けていた相続人と
贈与を受けていなかった相続人の
公平を図るための制度といえます。

 

それでは
親の土地の上に長男が建物を建築していた場合など
親の土地を無償で使用していた場合は
本当ならば地代などを支払わなければならないのに
長男は支払わずに済んだのですから
不公平ではないか
特別受益にならないのか
が問題となります。

使用借権の問題

 

使用借権とは
所有者との間の合意に基づき発生する,
無償で目的物を使用する権利
のことです。

 

例えば,
長男がお父さんの土地の上に自宅を所有する場合
というのは
長男は,お父さんの許可を得て
無償で土地を使用している場合
に該当します。

 

この場合は
長男は
土地について使用借権を有している
といいます。

 

使用借権が付いている土地についてですが
土地を第三者に対し売却した場合
使用借権は
その第三者に対しては対抗できない
ことになっています。

 

どういうことかというと
長男は
自宅が建っている土地が誰かに売却された場合
自宅を取り壊して土地を明け渡さなければなりません。

 

しかし,
他人所有の建物が建っている土地を
購入する人はいるでしょうか。

 

そのような土地を購入する人は
通常は出てきません。

 

購入した後で
建物の持ち主と交渉しなければならないからです。

 

ですから,
長男の自宅が建っている土地の評価は
一定程度減価されてしまうことになります。

 

具体的には
更地の価格の
1ないし3割程度
減額されてしまうのです。

 

すなわち
長男の自宅が建っている土地は,
客観的に評価価額が低下してしまう
という問題点があります。

 

この客観的に評価を減額させてしまう使用借権については
その土地の下落価値分について特別受益を受けた
と考えるのが通常となっています。

 

もっとも
長男が自宅を建てているお父さんの土地を
相続したがる人は誰か
というと
長男ということになります。

 

そのため
長男は,使用借権を有しているため
その土地の価値下落分を特別受益として持ち戻すが
使用借権付の価値の下落した土地を相続するので
結局更地の土地を相続した
と考えることにするのが実務です。

地代相当額

 

それでは
長年無償でお父さんの土地を使用してきた場合
長男は,本来なら支払うべきであった
地代相当額の支払いを
免れてきました。

 

この地代相当額については
特別受益にならないのでしょうか。

 

この地代相当額については
実務では
特別受益にならない
と考えられています。

 

理由としては
使用借権の価格の中に織り込まれている
と見るのが相当とされているからです。

 

もっとも
相続人が使用借権を有していなければ
被相続人は第三者に対し賃貸して
当然地代を得ていた
といえる場合には
被相続人に地代相当額について
損害を被らせたと評価され,
特別受益になる余地はあるかもしれません。

最後に

 

以上のとおり
被相続人所有の土地の上に
相続人が建物を所有して
土地を無償で使用していた場合については
使用借権として
特別受益になりうるが
結局土地を相続するのであれば
更地価格の土地を評価される
可能性が高いということになります。

 

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