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面倒をみることを条件に相続させたい!〜負担付死因贈与〜

公開日:2019/12/17

 

 

 

 

私の面倒をみることを条件に財産を相続させることはできないかしら?
母の面倒をみることを条件に自宅を相続することになっていたお兄ちゃん,結局お母さんの面倒をみていないわよ!

 

そのような場合
負担付死因贈与を使って財産を遺すことができます。

 

そして,
結局面倒をみなかった場合
負担付死因贈与を取消したり解除したり
できる場合があります。

 

どのような場合に
負担付死因贈与の取消が
認められるのでしょうか。

負担付死因贈与とは

 

負担付贈与とは
受贈者が
一定の給付をする債務を負担する贈与
をいい
負担付死因贈与とは
その効力発生が
贈与者の死亡によって
生ずるものをいいます。

 

負担付死因贈与のメリットとしては
1 契約なので生前から贈与の内容を受贈者に理解してもらえる
2 死後の財産処分に条件を付けることができる
3 仮登記ができる
4 遺言のように,方式不備により無効になるリスクがない
といった点が指摘できます。

 

もっとも,デメリットとしては
1 相続人に対する遺贈の場合,登録免許税が高い
2 内容を秘密にできない
といった点が指摘できます。

 

以上のようなメリットデメリットはありますが
生前に世話などをしてもらいたい場合など
負担付死因贈与を行うことがあります。

 

遺言を作成したいが,
何か条件を付けたい場合などは
負担付死因贈与を作成するメリットがありますから
作成したい!興味がある!方は
岡山の弁護士事務所である
安原法律事務所にご相談下さい。

 

負担付死因贈与の取消・解除

 

民法は死因贈与については
554条において定めているのみです。

 

内容としては
「贈与者の死亡によって
効力を生ずる贈与については
その性質に反しない限り,
遺贈に関する規定を準用する」
と規定されています。

 

死因贈与については
遺言と類似の性質を持っているからです。

 

しかし
死因贈与は
贈与者と受贈者との間の契約
である一方
遺言は単独行為
と解されていますので
その点で
性質が異なるとされており,
遺言の規定がすべて準用されるわけではない
とされているのです。

 

この点,
解除は,民法の通常の解除の条文が準用される
と解されますので
負担を履行しないなどの
解除原因がある場合は
負担付死因贈与を解除できます。

 

また,取消についても
民法1027条が準用される
と解されますので
受贈者が負担の履行をしない場合には,
贈与者の相続人は
相当期間を定めて
履行を催告し
その期限内に履行をしない場合には
家庭裁判所に対し
負担付死因贈与の取消を
請求することができるとされています。

負担付死因贈与の撤回

それでは
負担付き死因贈与の撤回はできるでしょうか。

 

民法1022条は
「遺言者は,いつでも,遺言の方式に従って,
その遺言の全部又は一部を撤回することができる」
と定め,
民法1023条1項は
「前の遺言が後の遺言と抵触するときは,
その抵触する部分については,
後の遺言で前の遺言を撤回したものとみなす」
と定め,
2項は
「前項の規定は,
遺言が遺言後の生前処分その他の法律行為
と抵触する場合について準用する」
と定めています。

 

具体的に裁判例で問題となるのは
途中まで履行していたけど
途中で仲違いした場合などに
遺言を新たに作成したなどの場合に
負担付死因贈与が撤回された
といえるのではないかが問題になります。

 

最高裁判所昭和57年4月30日判決は
「負担の履行期が贈与者の生前
と定められた負担付死因贈与契約に基づいて
受贈者が約旨に従い
負担の全部又はそれに類する程度の履行をした場合
においては,・・・・・
右贈与契約締結の動機,
負担の価値と贈与財産の価値との相関関係,
右契約上の利害関係者間の身分関係
その他の生活関係等に照らし
右負担の履行状況にもかかわらず
負担付き死因贈与契約の
全部又は一部の取消をすることが
やむを得ないと認められる
特段の事情がない限り,
遺言の取り消しに関する
民法1022条,1023条の各規定
を準用するのは相当でない
と解すべきである」
と判示しました。

 

すなわち
長男が母親の面倒をみるという条件を付けて
母親が死亡後に
母親名義の自宅を贈与する
という契約をした場合で
長男はかなり母親の面倒をみてきたが
あとで母親と長男の仲が悪くなって
母親が次男に自宅を相続させるという
遺言を書いた場合
母親の面倒をみた程度や関係などが評価され
負担付死因贈与契約が撤回されたかどうかが
判断されることになります。

最後に

 

以上のとおり
条件を付けて相続させたいという場合は
メリットがある負担付死因贈与契約ですが
あとで仲が悪くなった場合など
揉めてしまう場合があります。

 

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