岡山で遺産相続にお悩みの方へ

特別受益と学費について

公開日:2019/11/20

 

 

 

 

亡くなったお父さんは,私を大学に行かせてくれなかったのに
お兄ちゃんは大学に行かせてくれたわよ!
私は地元の短大なのに,お兄ちゃんは,東京の医学部に行ったわよ!
それって不公平じゃない?

 

そのような疑問をお感じになってらっしゃる方
遺産相続,遺産分割調停などでお困りの方に
岡山の弁護士が
このコラムで
特別受益と学費との関係について
ご説明いたします。

特別受益について

 

亡くなった方(被相続人)から
生前贈与を受けた!
などの事情がある相続人がいる場合
遺産分割にその事情が考慮されないとすれば
他の相続人に不公平になります。

 

そのような場合,
特別受益という制度で,実質的な公平を図ります。

 

具体的には,
被相続人が生前
相続人の誰かに不動産などの多額の財産を贈与していたり,
相続人の誰かに遺贈をしていたりした場合,
それを無視して
遺産分割時に残った相続財産だけを
法定相続人に法定相続分通り分割するのではなく,
生前に贈与または遺贈されてすでに相続財産から逸失している財産が
遺産分割時にまだ相続財産に存在しているかのように
贈与または遺贈されたものを相続財産に「持ち戻して」計算し,
誰がいくら相続するかを決めるという制度です。

 

要するに
特別受益分は,
死亡前に先にもらったということで
遺産分割の際に計算する制度です。

 

具体的には
各共同相続人の取得すべき遺産の金額を
(死亡時の遺産の金額+贈与の金額)×相続分率
と計算し,
贈与を受けた相続人の取得すべき遺産の金額を
(死亡時の遺産の金額+贈与の金額)×相続分率−贈与を受けた金額
と計算します。

学費は特別受益になるの?

 

では,学費は特別受益になるのでしょうか。

 

高等教育のための学費は,
よく特別受益のところで
主張されますが,
結論としては
特別受益として認められるのは厳しいです。

 

法律的な話としては
民法903条1項の
「生計の資本として」
の贈与に該当するか否か
ということになります。

 

裁判所の考え方は
「学資に関しては,
親の資産,社会的地位を基準にしたならば
その程度の高等教育をするのが
普通だと認められる場合には
それを越えた不相応な学資のみを
特別受益と考えるべきである」
(京都地裁平成10年9月11日判決参照)
としています。

 

具体的には
親の資産や収入状況,社会的地位
他の相続人との比較を考慮して
判断されるとされています。

 

ちなみに,この京都地裁の事案は,
被相続人は開業医であり,
歯学部に進んだ相続人に家業の承継を望んでいた
他の相続人も歯学部ではないが大学卒
などの事情があり
「扶養の当然の延長ないし
これに準ずるものとしてなしたもの」として
特別受益には該当しない
と判断されています。

 

裁判例を検討すると
単純に他の相続人と比較しただけではない裁判例もあります。

 

具体的には
相続人の適性等に応じて進学や就職をしたものであり,
各相続人も進学を希望したのであれば
被相続人の資力等の要因によって
それが妨げられることはなかった
という事情がある場合も
たまたま大学に進学した相続人に
特別受益として持ち戻すべきではないと
判示している裁判例もあります。

 

したがいまして,
甲と教育の学費が特別受益に該当するか否かについては
被相続人の意向や資力
各相続人の具体的な事情
他の相続人との比較等
様々な要素で判断されるようです。

最後に

 

学費が特別受益に該当するのは
なかなか厳しいですが
具体的事案により
該当する場合もあると考えますので,
遺産相続や遺産分割調停などで
お困りの方は
一度岡山の弁護士事務所である
安原法律事務所にご相談ください。

 

 

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