岡山で遺産相続にお悩みの方へ

相続放棄〜3か月過ぎても相続放棄できるか〜

公開日:2020/01/11

 

 

 

お父さんが亡くなって半年になるが,消費者金融から督促状が届いた!
気付かない間に叔父さんの相続人になっていたが,借金を支払わないといけないの?

 

そのようにお困りの方へ
このコラムでは
相続を免れる方法はないか
について
記載致します。

相続放棄とは?

 

相続放棄とは
自分のために開始した相続の効果を
確定的に消滅させることを目的とする意思表示
とされています。

 

すなわち
相続が開始すると
相続人は
被相続人のプラスの財産もマイナスの財産も
全て相続することになりますが
相続放棄を行うと
その相続に関しては
初めから相続人ではなかったことになる
すなわち
プラスの財産もマイナスの財産も
相続開始の初めから
相続しなかったことになります(民法939条)。

 

この相続放棄の効果は
どんな人に対しても及びますので
被相続人に対しお金を貸し付けた消費者金融に対しても
被相続人が不動産を誰かに売り渡していた場合の第三者に対しても
自分は相続人ではないから
被相続人が負っていた義務
(借金を返済する義務や移転登記をする義務など)
を履行する義務はない!
と拒否できることになるのです。

 

ですから
相続が発生したことにより
知らない間に
借金を相続してしまった!
返済しなければならないの?
とお困りの方は
相続放棄をすると
借金返済の義務を免れることになります。

相続放棄の手続

 

相続放棄の手続は,
「自己のために
相続の開始があったことを知ったときから
3箇月以内に」
家庭裁判所に対する申述により
なされなければならない(民法928条,915条1項)
とされています。

 

当然相続人自らが
放棄をしなければなりません。

 

この3か月間のことを
熟慮期間
といいます。

 

「自己のために相続の開始があったことを知ったとき」とはいつ?

 

それでは
熟慮期間の起算点はいつでしょうか?

 

「自己のために
相続の開始があったことを
知ったとき」
はいつか
という問題です。

 

これは以前は
被相続人が死亡したときから3か月以内なのか
それだけでは足りず
自分が相続人となったことを知ったときから3か月以内なのか
ということで
考えが分かれていました。

 

今でも原則的には
自分が相続人となったことを知った時から
3か月以内
でなければ相続放棄できません。

 

しかし
自分が相続人となったことを知った時から
絶対に3か月以内でないと相続放棄できない!
とすると
相続人となっていたことを知っていても
相続財産が全くないと考えて
相続放棄しなかったのに過ぎないのに
3か月が経過した後から借金返済を迫られた場合などに
相続放棄できないのは可哀想ではないか
という問題があったのです。

 

そうしたところ
最高裁判所昭和59年4月27日判決が
熟慮期間の起算点を
相続人が相続財産の全部又は一部の存在を
認識した時
又は
通常これを認識しうべき時
と判断しました。

 

そのため
それ以降は
相続人となったことを知った後でも
プラスの財産もマイナスの財産もないと考えていた場合であれば
被相続人が死亡してから3か月が経過したあとで
初めて借金が判明したなどの場合
例外的に相続放棄できることになりました。

 

ですので,
被相続人が死亡して3か月が経過していた場合も
当初プラスの財産もマイナスの財産もないと考えており
後から借金が判明した場合であれば
相続放棄できる場合もございます。

 

したがいまして
3か月が過ぎたあとで初めて借金があることを知った!
という場合も
諦めずに相続放棄の手続を取りましょう。

再転相続における熟慮期間

 

それでは
被相続人が死亡して相続人となったAが(第1相続)
被相続人の相続について
放棄も何もしないで死亡してしまった場合
Aの相続人B(第2相続)
の3か月の起算点(始まりの日)は
いつになるのでしょうか。

 

このBが元々の被相続人の相続(第1相続)について
放棄することなどを選択できる地位を承継すること
(第2相続)を
再転相続といいます。

 

この場合の3か月の起算点(始まりの日)は
いつになるのでしょうか。

 

この点については
最高裁判所令和元年8月9日判決が
相続の承認又は放棄をしないで
死亡した者の相続人が
当該死亡した者の相続により
当該死亡した者が
承認又は放棄をしなかった相続における
相続人としての地位を,
自己が承継した事実を知った時
をいうものと解すべきであると判断しました。

 

すなわち
BがAの相続が開始し,
自分がAの相続人となったことを
知っていたとしても
Aが第1相続について
放棄を選択しうる地位を
承継していたことを
知らなかった場合には
第1相続に係る熟慮期間は進行しない
とされました。

 

ですので
お父さんが亡くなったことで
知らない間に
叔父さんの相続人になっていたなどの場合に
叔父さんの相続について放棄するかしないかを
決めるための
3か月の起算点は,
お父さんが叔父さんの相続人になっていたことを知った時
となります。

最後に

 

以上のとおり
相続が開始したことにより
突然借金の返済を迫られた場合など
その相続を放棄できる可能性があります。

 

諦めずに弁護士にご相談下さい。

お問い合わせは

 

〒700−0815
岡山県岡山市北区野田屋町1丁目12番地14号
佐々木ビル201号
安原法律事務所
岡山弁護士会所属
TEL 086-206-3485
FAX 086-206-3486

page top